悟りの映像– category –
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AI時代のラブストーリー—映画『her/世界でひとつの彼女』を観て
はじめに2013年に公開されたスパイク・ジョーンズ監督・脚本のSF恋愛映画『her/世界でひとつの彼女』は、近未来のロサンゼルスを舞台に、孤独を抱えた主人公セオドア(ホアキン・フェニックス)と、人工知能を搭載した最新OS「サマンサ」(声:スカーレッ... -
切なく美しい“プラトニック不倫”の頂点──『花様年華』が教えてくれる秘密と愛
ウォン・カーウァイ監督の『花様年華』は、1962年の香港を舞台に、不在の配偶者同士が密かに不倫していた事実を知った男女、ジャーナリストのチャウ(トニー・レオン)と商社の秘書スー(マギー・チャン)が、互いを慰め合ううちにプラトニックな関係へと... -
統合失調症、幻聴、幻覚…それでも生きる! 大人が震える本当の青春映画『僕と頭の中の落書きたち』
■映画概要2020年に公開されたアメリカの青春ドラマ映画『僕と頭の中の落書きたち』(原題:Words on Bathroom Walls)。監督はトール・フロイデンタール、主演はチャーリー・プラマーとテイラー・ラッセル。統合失調症と診断された高校生アダム・ペトラゼ... -
紅白歌合戦が思い出させてくれた、音楽を楽しむ心
今年ほど、「紅白歌合戦」をただ流して見てしまった年は、なかったかもしれない。以前はどの曲をダウンロードするか一曲ずつ吟味し、車で聴くのを迷いながらメモを取るのが常だった。しかし鮮魚部門の責任者になってからは、常に気持ちが張り詰め、どの曲... -
映画『フェアウェル』:嘘が真実よりも“愛”を浮かび上がらせる、その瞬間をあなたは見逃せるか?
ニューヨークで暮らす若い中国系移民2世の女性・ビリー。彼女は2歳で両親と共に渡米したため、中国語があまり得意ではない。そんなビリーが、余命わずかと宣告された祖母(ナイナイ)の住む中国・長春へと向かうところから、この物語は始まる。アメリカ... -
『パスト・ライブズ/再会』感想・解説:ノラとヘソンが紡ぐ取り戻せない記憶と縁(イニョン)の物語
幼い頃、人は当たり前のように互いの存在を受け入れ、同じ空間を共有する。その静かで小さな世界は、校庭の片隅、親がお膳立てしてくれた遊び場、公園のブランコのような何気ない場面で成り立っている。そこには特別な言葉や派手な演出は存在しない。ただ... -
「インサイド・ジョブ」に学ぶ:オルカンやS&P500に迷う日本人投資家が直視すべきアメリカ経済の光と影
「インサイド・ジョブ」というドキュメンタリーは、2008年に世界を揺るがしたリーマンショックの原因を抉り出した作品です。銀行や投資会社、格付け会社、そして政治家や学者までもが一本の線で結ばれ、世界経済を土台から崩しかけた複雑な金融構造が明ら... -
『カリガリ博士』──夢と現実の狭間で問いかける映画
1920年に公開された映画『カリガリ博士』は、まさに映画史に残る異形の作品です。その表現主義的な美術や、現実離れしたセットの数々が織りなす光景は、まるで夢遊病者の視点そのもの。そこに描かれるのは、現実がいかに不確かで、どれほど私たちの認識が... -
笑いを超えた芸術性と普遍性:『モダン・タイムス』の本質を考える
チャールズ・チャップリンの『モダン・タイムス』は、一見すると笑いに満ちたエンターテインメントのように映ります。しかし、その笑いは単なる娯楽にとどまらず、資本主義社会の労働者階級が抱える悲哀を浮き彫りにし、風刺という芸術の神髄を見せてくれ... -
映画『ロボットドリームズ』:AIがすすめた“切ない友情”の傑作を観た
映画『ロボットドリームズ』が日本で公開されるのは、新宿と渋谷の限られた劇場のみ。こんなに評価が高い作品なのに?そう思って調べてみたところ、映画批評サイト「ロッテントマト」で驚異の**トマト指数98%**を獲得していることが判明!批評家がこれだ... -
青春を取り戻す歌:映画『シング・ストリート 未来へのうた』レビュー
仕事で忙しい日々が続く中、隙間時間で観る映画には妥協したくない。そんな思いから私は映画レビューサイト「Rotten Tomatoes」を頼りに、トマトメーター90点以上の作品だけを選んで観るようにしている。そして今回観たのは、2016年公開のジョン・カーニー... -
天皇と日本人の心:伝統と現代のはざまで揺れる皇室の役割
遠藤周作原作の映画『沈黙』での一場面に、ポルトガルの宣教師が長崎奉行・井上筑後守に問いかける。「なぜ、キリシタンを迫害し拷問するのか?」と。井上は、ここが「天皇の国」であり、異国の教えが根付く土壌は存在しない、と毅然と答えた。このやりと... -
『別れる決心』 – 資本主義社会の生活と恋愛のリアルを描く
パク・チャヌク監督の映画『別れる決心』を、社会学者の宮台真司氏が「現代人の資本主義国における生活のつまらなさを特によく描いている」と評価していたので観てみた。私にとっては、生きることのつまらなさ以上に、恋愛のリアルが美的な映像と共に鮮や... -
映画『パラサイト』感想:貧富の差と人間の本能
※過去の記事をリライトしたものです。youtu.be『万引き家族』を思い起こさせる。このように黄色人種が欧米の映画祭でグランプリを獲るためには、極貧で卑しい生活を描く必要があるのかもしれない。都市の洒落た生活を描いた洗練された作品が評価されること... -
映画『サーミの血』の感想とレビュー:宮台真司の勧めで観た感動作
昨日、宮台真司の勧めで映画『サーミの血』を観ました。宮台真司が荒野塾を開くにあたって、映画『AIR』を観て、「良いなぁと思えば仲間だ」と言っていたので、観てみることにしたのです。久しぶりに感動した映画でした。宮台真司は社会学者として、人をク...