1.20年の時を経て蘇った“亀の井ホテル”へ
寄居の亀の井ホテルがリニューアルオープン! その噂を聞きつけ、約20年ぶりに足を運んでみた。
昔、まだ自分が中学生の頃、氷室京介が秩父でコンサートを開いたという掲示を跨線橋で見かけ、「こんな田舎にあの氷室が来るなんて…」と衝撃を受けた記憶だけは残っている。
2.“あの頃”とはまるで違うアクセスのしやすさ
当時は「かんぽの宿寄居」だったから、ホテルまでの長い坂道を歩いて登ったものだ。それも今や昔。
いま私は自宅から車を飛ばして、サクッとこのホテルに到着できるようになった。高速を使えば2時間もしない。あまりのアクセスの良さに、20年前と比べて時代の変化をしみじみ感じる。
3.最上階の温泉から眺める“日本昔話”さながらの絶景
リニューアルしたホテルの最上階にある温泉は、山里の風景をひとり占めできる贅沢スポット。四季折々の自然が広がっていて、まるで日本昔話のワンシーンに飛び込んだような感覚になる。
静岡の日本平も何度見ても「風景美術館」と呼ぶに相応しい絶景だが、ここ寄居の山並みも、まったく別の“味”を感じさせてくれる。正直、一生忘れられないくらい心に焼きついた。

4.44歳の“生”と“虚無”を考えさせる、不思議な空気感
自分が44歳になった今、人生はいつ終わってもおかしくない——そんなニヒルな思いを抱きつつ日々を過ごしている。
特に家族がいない身のせいか、両親との別れがリアルに迫っているように感じるし、世間の見せかけだけのイメージや、人々の営みがやけに虚しく映ることもある。図書館で手に取る本さえ、どれもありきたりに思えてしまう。
そんな中、三島由紀夫や安部公房のような“逆説”に救いを求めたくなる自分は、案外間違っていなかったのかもしれない…と妙に誇らしく思うこともある。
5.青梅の亀の井ホテルとは違う!“豚の味噌煮”やカツオ料理が絶品
今回の寄居の料理は、マグロやカンパチではなく、カツオの土佐造りや炙りサーモンなど“並”と思われがちな食材を使いつつ、質と味をとことん追求しているところが魅力的。
さらに牛肉ではなく豚の味噌煮、鍋には餅を使うなど、ちょっとした工夫で“リーズナブルなのに満足度が高い”食事を実現しているのが、青梅との大きな違いだ。

6.外国人スタッフが支える“田舎ホテル”のリアル
食事処のまかないスタッフの半数は、外国から来ている出稼ぎの方々。日本語はまだぎこちない部分もあるが、とても真面目に働いている姿が印象的だった。
一方、日本人の若手採用は境界知能や発達障害などの問題も多く、さらに人口減少で人材不足が深刻化…こうした現実が、ここ寄居という田舎町にも確実に波及している。
移民政策に反対する声もあるが、そもそも若年層が減り続ける今の日本を回していくには、外国人労働者抜きでは立ち行かなくなる——そんな現実をここで改めて痛感した。
7.“元気すぎる”宿泊客たちが集まる理由
青梅の亀の井ホテルと比べると、寄居はとにかくアクティブな人が多い印象だ。
実際、温泉に浸かっていると「千葉から車で来て、数時間前には伊香保温泉に入って、Uターンしてまたここへ来た」という家族連れもいて、「この辺に何か観光スポットあるの?」なんて聞いてくるほど“勢い”がある。
カラオケルームも以前のかんぽの宿時代から残っていて、「元気に遊びたい!」という層には打ってつけらしい。
8.青梅より遠いけど“もう一度行きたい”魅力
東京寄りの青梅は、都心からの小旅行として“隠れ家的な贅沢”を楽しむ大人が多いのだろう。だから朝食バイキングもやめたのかもしれない。
でも、たとえ距離はあっても、私も両親も「断然、寄居のほうが良い」と感じた。とはいえ、リニューアルした青梅にも気になっている部分があるので、いつかそちらにもまた足を運んでみたい。
9.“限られた資金で最大の満足”を生み出すヒントがここに
今回の寄居のリニューアルは、まさに「潤沢な資金がなくてもアイデアと工夫でここまでできる!」という好例だ。
料理も施設も、大胆な高級路線というより“とことん考え抜いた使い方”で上質に仕上げているように思う。結果として、訪れたお客さんたちの満足度はかなり高いのではないだろうか。
10.まとめ:20年ぶりの寄居で感じた“新しい時間”と“懐かしさ”
車でアクセスしやすくなったホテル、絶景の山里を望める最上階の温泉、意外にもボリューム満点の食事、外国人スタッフが支える現実…。
あの坂道を歩いていた頃から、すべてが大きく変わったようでいて、何か昔の情景も失われていない不思議な空気感。
「いつ人生が終わってもおかしくない」と半ば達観しながらも、ここに来れば“まだまだ生きるのも悪くない”と元気をもらえる。そんな寄居の亀の井ホテル。
もしあなたも、ちょっとした“心の揺らぎ”を抱えているなら、一度ここへ足を運んでみてほしい。きっと、新鮮な発見と懐かしさ、そして明日へ進むエネルギーを同時に感じられるはずだ。




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