
――突然のメール、そして子作り直談判――
ある日、登録したのをすっかり忘れていたマッチングサービス「tonbebe」からメールが届いた。登録は40歳としていたものの、実際は44歳。しかもAGA真っ只中の“禿げ”な自分だ。もう恋愛も諦めていたはずなのに、「妊娠したいから会ってほしい」という彼女からの熱烈メッセージが、まさか届くなんて……!
「子どもは欲しいが、結婚には興味なし」の本音
そもそも僕は、子どもを作りたい気持ちはあっても、結婚や子育てにはさほど価値を感じていない。自分の時間を使い、自分の頭の中の抽象的な世界を形づくりたい――そんな考えが強い。
「親ガチャなんて言わせたくない」「人工授精の工場でどんどん子供を産んでくれれば日本の少子化を止められるのでは?」と真面目に考える一方で、「子どものために平等な世界を用意してあげたい」なんて理想もどこかにある。そんなアンビバレントな思いを抱えながらも、結局“自分の遺伝子を残す”ことに魅力を感じている自分に気づいてしまったのだ。
飛行機に乗ってでも妊娠したい! 彼女の本気度に戸惑う
彼女は都心部まで飛行機で飛んでくるという。しかも排卵日を狙って……! メールのやりとりだけで「子どもが欲しい」と迫られると、驚きを隠せない。僕の容姿なんて見ていないはずなのに、これほどまでに急いでいるのはよほど切羽詰まっている証拠だろう。
身長180cm、体重70kgとスタイルは悪くない。だけど問題は“禿げ”だ。幸いウィッグで隠せば周囲には気づかれにくいとはいえ、彼女の期待を裏切らないためには、見た目にもそれなりに配慮したい――そう思うのが大人の誠実さってものだ。
原宿へウィッグを買いに行く決意
そこで、原宿のカツラショップ「プリシラ」に行くことを決めた。4月中には買ってしまい、5月20日くらいに会う約束に備えたい。費用は1万円ちょっとでなんとか押さえたい。
本来なら一人暮らしで行動しやすいのだが、実家暮らしのため外出の理由を説明しなくてはならないのが億劫だ。けれど、僕にこんなに興味を持ってくれる彼女がいる以上、それをないがしろにするのは大人としてどうなんだろう? そう思うと、やっぱり行動しなくちゃいけないな……と決心が揺らいでしまう。
会うだけ? それとも本当に子作り?
彼女は真剣に妊娠を望んでいる。僕にとっては「挿入して射精して終わり」になってしまうのかもしれない。でも、彼女は本気で子どもを求めている。その気持ちを受け止める以上、やはりできるかぎり誠実な姿勢を示したい。
一方で、「僕がやろうとしていることは正しいのか?」という疑問も頭をよぎる。見ず知らずの女性と本当に子どもを作るなんて、普通はなかなか人に言えない話だろう。彼女自身も、周囲に堂々と言えることではないかもしれない。でも、彼女にとっては“正しい選択”なら、たった一人でも応援してくれる存在がいることは心強いはずだ。
僕の遺伝子を残せるかもしれない――胸に灯る小さな火
思いがけないチャンスかもしれない。僕の遺伝子が地球に残るという未来を思うと、なんだか胸の奥から太陽のような温かい感覚がこみ上げてくる。
「愛燦々」なんて言葉が浮かびつつも、当日、行為を終えて電車に乗る僕は、都会の喧騒の中でどんな気持ちになるのだろう。非日常のような、でもどこか現実を突きつけられる不思議な感覚に襲われるのかもしれない。
――いったい僕は、この出会いをどうやって迎えるのだろうか。5月20日、彼女と初めて顔を合わせる瞬間が、なんだか怖くもあり、楽しみでもある。
あなたなら、この決断をどう思いますか?
「結婚や子育て」と「自分の人生や理想」をどう両立させるのか。誰にでも起こりうる問いかもしれません。読んだ感想やご意見をぜひコメントでお寄せください。きっと、多くの人にとって考えさせられるテーマになるはずです。
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