先週の土曜20時、高校時代の野球部の同窓会が渋谷で開催された。年に2回の恒例イベントだが、これまで仕事の都合で参加を見送ってきた。しかし今回は強行突破。しかし、翌日から体調を崩し、1週間の地獄を味わう羽目に……。
食品スーパーで働く私にとって、日曜は最も忙しい。体力を消耗する長時間勤務の前夜に飲み会へ行くという愚行。結果として風邪を引き、後悔先に立たずとはこのことだ。
渋谷・道玄坂のカオス──かつての街とのギャップ
同窓会の会場はラブホテル街の近く。集合時間までの間、周辺を散策していたが、道に迷い、開始に間に合わなかった。道玄坂を歩くと、高校時代の渋谷とはまるで違う。人の波が絶えることなく、幻想的な光景。ラブホテルの出入りも激しく、クラブ帰りの男女がそのままホテルへと消えていく。
「もし社会人になりたての頃、こうした夜の渋谷に足繁く通っていたら、今の人生は違ったのだろうか?」そんな考えがよぎる。
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“伝説の男”神島との再会──異次元の才能と裏社会の闇
同窓生の多くは、善良で凡庸な大人になっていた。しかし、ただ一人、異彩を放つ男がいた──仮名を神島としよう。
神島は高校時代、超人的な運動能力を持っていた。練習をしなくても足はチームで最速、試合では本気を出せばホームランを量産。しかし、彼の素行は問題視されていた。山口組の組長の舎弟と親しくし、高級スーツを着て卒業式に現れたのは、彼だけだった。
卒業後、彼は新宿・歌舞伎町の風俗店の店長になり、“キャスト講習”と称して性行為をするのが日常だった。合宿先で女性を連れ込み、他の部員にも女性をあてがうなど、その行動はもはや異次元だった。
“転落と復活”──チャイニーズマフィアとの関係
彼と再会したのは部員の結婚式。そこで彼の職業を知り、驚いたのも束の間、今回の同窓会でさらなる衝撃の事実が発覚した。
彼はチャイニーズマフィアに“ナンバー2”として迎えられ、詐欺に加担。その罪で拘置所に8ヶ月収監されるが、ある人物が身代わりとなり、釈放される。組織において、彼の“金を生み出す才能”は必要不可欠だったのだろう。
「チャイニーズマフィアの仕事って、強盗・殺人・詐欺・誘拐らしいよ」
その言葉に思わず息を呑んだ。今では風俗店、ペットフード、不動産のオーナーを務め、裏社会のネットワークを駆使して事業を拡大しているという。
“自由”への渇望──人はどこまで縛られずに生きられるのか
酒場では、組の者に向かって「おぅ」と貫禄ある挨拶をする神島。カメラマン3人組の女性のひとりが、彼を怪訝そうに見つめていた。はだけた胸元が目を引くが、それよりも、彼の生き様に対する彼女の好奇心が垣間見えた。
「信頼されたいほど、人は自由を奪われる」
この言葉が、彼の人生を象徴しているように思う。人一倍の愛情を求めるがゆえに、制約から逃れられない。私が文学に向かうのは、そんな自由への渇望を別の形で追い求めているからかもしれない。
──“らしく生きろ”というのは名言だ。しかし、人は誰もが自由を求める。それは、時に破滅と紙一重なのかもしれない。
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