瀞峡巡りは愛を運ぶ

1、三島由紀夫の紀行文に、熊野の瀞八丁をプロペラ船に乗って見て回るというのがあったから、私も熊野本宮神社を参拝した後に行くことにした。志古から乗ると往復で1時間55分、小川口から乗ると、往復1時間ということである。私は小川口から乗ることにした。本当は、熊野速玉神社の新宮の河川から遡上していき、瀞八丁に入っていくのが理想であるが、私の場合は、いきなりクライマックスを体験しようとすることになる。

 道の駅で聞いた通りの河川敷に来ても、標識すらない。待っていると、2人の老夫婦が歩いてきた。ウォータージェット船の乗り場はここですか?と聞くと、昔、ここで乗ったから、ここじゃないかと応えた。

 新婚当時に、このウォータージェット船に乗ったそうだ。金婚式が先日あったから、また来ようと考えたらしい。

2、船員が2人いて、1人が写真パネルで瀞峡について説明している。写真を見てもらうとわかるが、中央の樹木が生い茂ったところに、少し前まで小学校があったそうだ。こんなところにも住民がいて、生活している人がいる。ましてや子供が学ぶ場所まで……

3、鮎釣りをする人達が4、5人いた。ダムが出来る前の河川は、天然の鮎が素人でもわんさと獲れたそうだ。今では、難しくはなったけれど、それなりに釣れるから、釣り人が後を絶たない。

4、老夫婦に言わせれば、昔の景色と変わらないとしみじみとうなずいていた。崖の上にある旅館(今は喫茶店)も昔からあったということ。集中豪雨でダムから放出された川水は、旅館の高さまで達したと船員が話していた。

5、1缶200円のじゃばらを飲んでみた。酸っぱくって甘いというような味、オレンジとグレープフルーツを2で割って、薄荷を少し混ぜたような味である。老夫婦は懐かしそうに2人で飲んでいた。昔のあったのかは知らない。2人で写真を撮らないと奥さんが言い出し、旦那がうなずいた。近くで同じくじゃばらジュースを飲んでいた私にシャッターを切るように頼んできた。離婚する人が多い中で、結婚してここまで続いてきた力はどこにあるのかなと思った。

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